「あなたは特別支援学級に配属になります。」
「はい!(・・・?!)」
そう辞令を言い渡された、保健体育科教員のあなたへ。
はじめまして、講師→正規として、特別支援学級(知的固定)と通常学級で担任経験のある、中学校教員のよしよしと申します。
専門教科は保健体育科です。
この記事は・・・
①特別支援学級ってどんなところ?
②特別支援の免許はもってないんだけど...?
③どういう風に働くのだろう?
④保健体育だけ教えればいいのかな?
⑤どんな授業をすればよいのだろう?
と言った、特別支援学級への配属が決まったものの、たくさんの?が頭に浮かんでいる先生の疑問を解消するためのものです。
なお、私が発信する特別支援学級とは、知的障害の特別支援学級に関しての情報です。
その他の特別支援学級のとは実態が異なります。その点はご了承ください。
それでは、上記の質問に1つずつ回答していきます!
①特別支援学級(知的固定)ってどんなところ?
特別支援学級とは、「特別な支援を要する生徒が対象のクラス」
特別支援学級は、「主に小中学校に併設される、特別な支援を要する子を対象としたクラス」です。
基本的に、通常級と同じ校舎内に設置されます。
その中で、特別支援学級内での学びを中心に、校内の通常級の生徒と「行事」や「授業」を通した交流があります。
その他にも、「区市町村内」や「都道府県内」の特別支援学級や特別支援学校の生徒と交流の機会や行事などもあります。
どのような支援が必要かによって、以下の7つの種別の特別支援学級があります。
特別支援学級の種類7つ
・知的障害(当ブログの対象)
・肢体不自由
・病弱・身体虚弱
・弱視
・難聴
・言語障害
・自閉症・情緒障害
本ブログの対象は、知的障害の特別支援学級です!
どんな生徒がいるの?
ものすごく簡単に説明すると、軽度知的障害の生徒が主な対象となります。
そのため、一人ひとりの得意・不得意を把握し、本人や家族の願いも考慮した上で、学習の計画や支援方法を作成していきます。
詳しくは今後、
- 個別の指導計画
- 個別の教育支援計画
- 文部科学省の通知や設置基準
などの関連する記事を作成します。
特別支援の免許はもってないんだけど?
特別支援学校教諭免許状は必要か?→無くても担任はできます!
結論:特別支援の教育免許をもっていなくても、担任になることはできます!
また、現在、特別支援免許を持っていなくても、特別支援学級に勤めながら特別支援免許を取得することもできます。
免許取得を促進する措置があったり、免許取得のための講習が無償で受けられたりします。
教員としての在職年数と単位修得により特別支援学校教諭免許を取得する場合(別表第7による申請)|教員免許案内|東京都教育委員会ホームページ (tokyo.lg.jp)
(※自治体により違いがあります。ご自身の自治体へご確認下さい。)
配属までにできること2選
①勤務する学級の見学
実際に勤務が始まるまでの、準備期間の間に免許を取ることは難しいので、勤務開始までにできることとして、
まずは、自分が勤務する学級の見学です。
配属される立場毎にまとめました。
・初任者:任用前研修等で学校・学級を見学する機会を活用しましょう。
・異動教員:次年度の勤務校との打ち合わせで、配属先の学級を見学する。
・産休代替等:無給の場合でも、勤務開始前に見学・打ち合わせを行う。
見学のポイント(必ず見た方が良いもの)
✅配属先の学級で普段使う教室
✅今使っている教材・教具
✅時間割
✅年間指導計画(1年間の行事等の予定)
以上を確認しましょう。
見学のポイント(可能であれば見ておくと良いもの)
✅どのような生徒がいるのか。(次年度在籍生徒の一覧や特徴)
✅1日の基本的な流れや、1年間の大まかな行事等の流れ。
✅自分が担当する予定の教科と今年度使っている教材や教具・生徒の学習プリント等
上記を確認すると、働くイメージがもちやすいのでおすすめです💡
②書籍等で特別支援学級や障がいについて学ぶ
おすすめ書籍を3つ紹介します。
配属までに時間が無くて、3冊も読めないよ!💦
そんな方は、まずはこちらの書籍をお読みください!
全てが書籍の通りではありませんが、少しでも様子をイメージできます!
どんな風に働くのだろう?
結論:「特別支援学級の生徒と授業を中心に過ごします」
特別支援学級の1日の流れ
- 生徒登校前の準備、打ち合わせ
- 生徒登校(登校指導)
- 朝の部活動(特別支援学級の生徒対象:毎朝20分程度 ※例)体操・ランニングや筋力トレーニング等を行っていました。
- 日中の授業(各教科+特別支援学級ならではの教科あり)
- 放課後の部活動等(特別支援学級の生徒対象:曜日指定あり)
- 生徒の下校指導
- 下校後の業務
という流れで1日を過ごしていました。
基本的には、「特別支援学級の生徒と登校から下校まで」一緒に過ごします。
私は特別支援学級の部活動と通常級の生徒を中心とした部活動2つを朝と放課後に担当していました!
委員会や学校行事等への参加
委員会
交流の機会として、各種委員会(学級委員,生活委員,保健委員、体育委員等)には、特別支援学級の生徒も参加することが多いです。
その際、通常級の教員と特別支援級の教員で委員会指導に当たることが多いですが、小規模校にいた場合には、私一人で、美化委員会を指導したこともありました。
その場合は、普段授業で接することのない通常級の生徒の指導も担うことになります。
学校行事
・運動会や文化祭、合唱コンクールには特別支援学級の生徒も通常級の生徒と共に参加します。
学校によって、「通常級に混じって」の参加や、「特別支援学級単体」で参加するパターンがあります。
例)運動会 通常級に混ざって
・通常級→赤・白・青 に分かれて実施
・特別支援学級→同様に赤・白・青に分かれて、団体種目やリレー等に参加
例)運動会 特別支援学級は一つのまとまりで参加
・通常級、赤・白・青 に分かれて参加
・特別支援学級は全員で紫として参加
合唱コンクールなども、特別支援学級としての出演に加えて、各学年の学年合唱に一緒に参加するなどの交流機会がある場合もあります。
特別支援学級や特別支援学校との連合(合同)行事への参加
自分たちが所属する学校での行事等に加えて、
・同じ地域(市区町村)に設置されている特別支援学級の連合行事(合同実施)
・都道府県単位での特別支援学級・特別支援学校での連合行事(合同実施)
等への参加や運営があります。
そのため、所属学校の勤務に加えて、
・「担任会」(同一地区の特別支援学級担任の集まり)や打ち合わせが入ります。
例)
・連合運動会
・連合学芸会
・連合展覧会
・連合遠足
・連合宿泊行事
などなど..(※自治体により様々です)
また、私が在籍していた自治体では、都道府県単位での連合(合同)行事もありました。
こちらも、事前打ち合わせや、大会運営等があります。
例)合同体育大会
・陸上競技大会
・サッカー大会
・バレーボール大会
・バスケットボール・ポートボール大会
などなど..(※自治体により様々です)
以上に加えて、自分が所属する特別支援学級単独で行う、行事等もあります。
・新入生歓迎会
・校外遠足
・上級学校訪問
・百人一首大会
・書初め大会
・ボーリング大会
・学級での卒業遠足
・買い物学習(遠足や宿泊行事前に実施)
・3年生を送る会
などなど..(※勤務する学級により様々です)
保健体育だけ教えればよいのかな?
結論:保健体育以外の教科等も主担当(T1)として授業を担当します
基本的に、特別支援学級の授業は特別支援学級の教員が担うというスタンスが多いかと思います。
※(勤務校によっては通常級の教員が手伝ってくれることもあります)
授業の担当の仕方は主担当(T1)もしくは、サポート(T2、T3)で入ります。
T1の時は全体指導を、T2,T3の時は、全体指導から遅れたり、困っている生徒のサポートに入ります。
主担当として担当する可能性が高い教科
主担当として担当する可能性が高い教科は次の通りです。
①保健体育(複数保健体育科がいる学級では分業制も)
②道徳・総合・学活(特別支援学級の担任で、輪番や内容項目毎に担当)
②国語・数学のグループ学習(レベル毎に可能な限り少人数で実施)
その他にも、特別支援学級の担任(複数名)で基本的に各教科の授業を行うため、
自分の保有免許以外の授業も主担当として行うことがあります。
主担当(T1)となる可能性がある教科
下記は、私が今まで主担当で担当した教科の例です
よしよしの担当例)
・英語(私の趣味が語学勉強と、同僚に知れてしまったためです…)
・社会
・技術
・作業学習(※1)
・日常生活(※2)
※1,2:特別支援で認められている各教科等を合わせた指導を行う教科。解説や具体例は今後別の記事で説明していきます。
どんな授業をすればよいのだろう?
結論:可能な限り、生徒一人ひとりの状態や実態を考慮した指導を行うことが求められます。
その際には、
障害による学習指導上又は生活上の困難を克服し自立を図るため、特別支援学校小学部・中学部指導要領第7章に示す自立活動を取り入れること
児童の障害の程度や学級の実態等を考慮の上、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標や内容に替えたり、各教科を、知的障害である児童に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして、実態に応じた教育課程を編成すること。
小学校学習指導要領(平成29年告示)総則より引用
とされています。
教育課程に関しても、別の記事で説明します。
簡単に言うと
- 生徒の実態に応じて、目標を調整すること。
- 生徒の将来的な自立につながる目標を立てること。
が求められます。
そのために、中学校特別支援学級で勤務していた、よしよしは
保健体育の授業づくりについては、下記の資料を参考にしていました。
以上の2冊を参考に生徒の実態やこれまでの学習経験、学級のこれまでの取り組みを合わせて考え、各単元の目標等を作成していました。
指導要領が実際の冊子としてまとまっている方が使い勝手が良い方は、以下のリンクをご確認下さい。
目標を設定後は、保健体育の授業に関する書籍や体育授業の雑誌を参考にしていました!
具体的に、これまで行ってきた授業はこちらの記事をご確認下さい。
体育の授業づくりで参考にした書籍や雑誌等は別の記事でご紹介いたします。
まとめ
今回の記事では、
特別支援学級に配属が決まった保健体育科の先生方の以下の疑問を解消できるように説明を行ってきました。
①特別支援学級ってどんなところ?
「主に小中学校に併設される、特別な支援を要する子を対象としたクラス」
②特別支援の免許はもってないんだけど...?
「取得が推奨されているが、未取得でも務められる」(勉強は必要です。)
③どういう風に働くのだろう?
「特別支援学級の生徒と授業を中心に過ごします」
④保健体育だけ教えればいいのかな?
「保健体育以外の教科等もT1(主担当)として授業を担当します」
⑤どんな授業をすればよいのだろう?
「可能な限り、生徒一人ひとりの状態や実態を考慮した授業」
少しでも、これから特別支援学級で働く先生方の疑問や不安を解決できたら、幸いです。
初任者が配属前に準備しておくと良いものってなんだろう?
上記の疑問をおもちの初任者の方は、こちらの記事もあわせてお読みください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
それではまた!!