今回の記事は、特別支援学級の体育授業の作り方の解説です!
授業のテーマは『バドミントン(ネット型球技)』!!
この記事を読むことで、特別支援学級(知的)に配属予定の保健体育科の先生方の
特別支援学級の授業って具体的にどんなことをすれば良いの?
球技ではどんな工夫ができるんだろう?
以上の悩みを解決します!
この記事を読むことで、
1.特別支援学級でのバドミントン授業の紹介と実際の行い方
2.バドミントンを行うメリットや留意点(安全面・心理面)
3.特別支援学級でどんな体育を行うかの見通し
以上3点が分かるようになります!
それでは解説に移ります!
バドミントン授業の目的
①楽しみながら球技にとりくむ機会を保障する!
バドミントンはネット型の球技で、シャトルとラケットを活用して行う教材です!
最初はネットを張らずに、手でシャトルを打ち返したり、2人組でラリーの継続回数や継続時間を伸ばすことに焦点化することで、楽しく上達していく活動が期待できます!
バドミントンの授業の結果、休み時間に体育館でラリーをする生徒や、人によっては自分でラケットとシャトルを購入して練習する生徒も現れました!

②簡易化された教具やルールで生徒にできたを保障する!
💡ルール:最初はラリーの継続(回数や時間)を目標に
(苦手な生徒は先生や得意な生徒とのペアがおすすめ)
💡シャトル:苦手な生徒はジャンボシャトルの活用もおすすめ
💡ラケット:通常のラケットが難しければ、ミニラケット等もおすすめ
よしよしはこれまで、特別支援学級の授業について調べたりする中で、なかには・・・
特別支援学級の生徒にむずかしい判断が必要な球技はむり!
というご意見をみたこともありますが、教材や教具の工夫や段階的な指導(スモールステップ)で何とかできないかと考え、ネット型ではバドミントンも実践にいたりました!
実際に、体育や運動が苦手な生徒もとても楽しそうに単元に取り組めていました!また、ペアでの活動により、仲間との連携や励ましもどんどんうまれていました!
補足(よしよしがバドミントンを実施するときに考えていたこと)
楽しくできると良いなぁ。
そのために、ぜひ単元序盤のシャトルやラケットへの慣れるゲームや目標(ラリーの継続等)を生徒の実態に応じてアレンジして欲しいと思います!
みんなで準備や片付けも協力できると良いなぁ。
・ゲームで使うバドミントンコートや支柱同士をつないで使う
補助ネット(スズラランテープ)
・それぞれのシャトルやラケットなど、準備するものは多いので、生徒がみんなで協力して
スムーズに授業に入れるように声かけをしましょう。
バドミントン授業の具体例
単元概要(ラリー継続を中心目標に)
・最初はシャトルキャッチボールや手で投げて打ち返すところから入る
・2分間(調整可)でペアで何回ラリーを続けられるか
最高記録にチャレンジ
・最初はいつも同じペア(記録への挑戦)で
その後はローテーションで、違う人ともラリーをすると交流になります!
・生徒達の実態に応じて、
毎回の授業を基礎運動→ラリーゲーム→試合形式(単元後半)
で組むと、少しずつ発展していく授業進行ができます。
ラリーの継続時間や試合形式の導入、ローテーション方法などはぜひ、学級の様子に合わせて調整してください。
コート図
最初はネットを挟まずに、ボール慣れや連続ラリーの練習をしていきます。

慣れてきたら、ネットを挟んでの活動に入っていきます!
シャトル慣れ(ペア)
1.キャッチボール(シャトル)
まずは、シンプルにシャトルでキャッチボール
①利き手でのキャッチボール
②利き手と反対の手でのキャッチボール
③高く投げ上げてのキャッチボールなど
※まずは簡単なことから徐々に難しくしていきます。
2.キャッチボール応用(シャトル)
①シャトルを投げた後に、投げた人が回転する(まずは簡単なことから)
②シャトルを投げるタイミングで受け取り手が回転してからキャッチ
(※「せーの」などの声かけが大切です)
③シャトル同時投げ
ペアの二人ともシャトルをもち、「せーの」で同時に相手に投げてお互いにキャッチ
④シャトルでシャトルをキャッチ
- 2人ともシャトルを持つ(受け取りてはシャトルの結合部をコルクを地面に向けて持つ)
- 投げるほうは相手の手元に山なりの軌道で投げてあげる
- 受け取るほうはシャトルの羽の中に、相手が投げたシャトルをおさめてキャッチする

失敗しても笑顔でチャレンジしたことを認めあえると良いです!!
3.ラケットに慣れる
実際にラケットでシャトルを打つ前に少しずつラケットにも慣れる活動を行います。
①ラケットの持ち方の確認をする
◆地面に置いてあるラケットを握る=ウエスタングリップ
◆ラケットのガットを地面から直角にし、握手するように握る:イースタングリップ
※持ち方は厳密に教え込まなくても生徒が使いやすい握りで大丈夫です

②ラケットのガット部分で、ペアの指定された場所(手や膝、足、頭、肩)などを
優しく触る
安心して活動できるように、優しくを強調しましょう!!
4.シャトル運び
ガット部分にシャトルを載せて持ち、指定した場所へ歩いて移動や、走って移動します。
慣れてきたら打ち上げながら、移動等も入れるとチャレンジ性が高まります!
先生方も挑戦し、失敗も笑顔で共有しましょう!!
実際に、シャトルをラケットで打ってみる
ラケットにガットにシャトルを載せたところから打ってみる
ラケットのグリップを持った手が、同じ腕の肩に触れるように担ぎます。
その状態のガットの上に、シャトルを載せ、そこからラケットを振ると
打つ感覚がつかめます。
手で投げたシャトルを打つ
- シンプルに構えている位置に投げてもらい打ち返す
- 慣れてきたら、投げる軌道や高さを変えて打ち返す
- さらに慣れてきたら、打つ人が移動して打ち返す場所に投げる
ラケットでのラリー
ここまで進むと、あとはラリーをどれくらい長く続けられるかの練習の積み上げに入ります!

応用課題
壁打ち
①一人一人が、ラケットとシャトルをもち体育館の壁から1,2メートル離れた場所で
壁に向かって立ちます。
②自分のやりやすい方法で、壁に向かって打ち込み、跳ね返ってきたシャトルを落とさずに
何回打ち続けられるか練習します。
これは、サービスの練習と素早く返ってきたシャトルへの反応の練習です!
シャトルの打ち上げ(1で連続打ち上げ)
体育館の中央付近で、近くの生徒と十分に距離を取って
自分ひとりでシャトルを打ち上げ、連続で何回打てるかに挑戦します

これはハイクリアや高い軌道の打球への反応の練習になります
実施のポイント
安全面には留意して行いましょう。
また、よしよしが行う時は、①壁打ちと②打ち上げの2グループを作り、時間を区切って入れ替えて活動していました!
ネットを挟んでのラリーゲーム
生徒がネットなしである程度ラリーができるようになったら、
ネットを挟んでのラリーゲームを行います。
ネットがあることで、難易度が上がるので、初めは時間を区切っていつものペアでラリー
時間が来たら、一方方向にローテーションしながら、ペアを変えてラリーゲームを継続します。
生徒の実態によって、ラリーではなく、実際に攻防をしたいペアの場合はラリーの条件をクリアしてから、攻防ありにしていくと発展性があります。
よしよしの授業では、攻防したいペアは10回以上ラリーが続いてから、攻防を解禁していました!
用具の取り扱い
生徒に役割をふると、自分たちで準備片付けができます。
年度当初は先生と上級生で準備・片付けの手本を見せます。

生徒の役割分担
生徒が自分たちで役割を分担し、用具等の準備片付けをできると良いです。
ですが、学級の状態によっては、教員が手伝いに入りましょう。
「早く終わったら他の生徒を手伝う」という姿勢が生徒に身につくと
準備のスピードアップ&助け合う雰囲気ができます!
安全管理
【実施前】
✅バトミントンの支柱の持ち運びに注意
(必ず生徒2人以上で、可能であれば教員もつく)
✅バドミントン支柱の設置時、支柱止めの落下で指や足などを
怪我しないように、両手で必ず作業する。
(ストッパーを外すときは声をかける。最初は必ず教員がつく)
【授業中】
✅靴紐の確認(転倒防止)
✅用具配置場所(使ってないシャトル・ラケットの管理場を所決める)
✅待機生徒の場所を安全な場所へ
【運動後】
✅2人以上で支柱は持ち運ぶ
✅ネットを外すときもストッパーは両手で、声を周囲にかけてから外す
チェックポイントは教員と生徒で共有し万全をきしましょう!
バドミントンのメリット・デメリット
メリット
✅楽しくボール運動に参加できる
✅バドミントン自体に興味津々なこども
✅シャトル等の工夫で難易度を調整することができる
✅ラリーゲームや、ラリー回数、ラリー継続時間の測定により
競争ではなく協力の場(技能・社会性)としても機能する
✅教員も参加することで愉しみながら生徒と教員の関係を構築できる
デメリット
☝バドミントンの支柱が何セットか必要(人数によります)
☝支柱やラケット、シャトルを準備する必要や学校に物品がない場合
購入が必要
☝人数が多い場合は大量のラケットやコートを準備する必要
用具の準備や保管に多少手間がかかりますが、それらの過程も生徒と楽しんで取り組めるとまえ向きに学習に望めます!
補足
おすすめできる学級
✅教師(あなた)がやってみようと思える(1番大事)
✅同僚・生徒の理解を得られる。(年間計画等や他領域との兼ね合い)
☝バドミントンに懐疑的な同僚の先生がいた場合には、物品の生徒の取り扱
いルールなど、慎重に相談検討が必要。
✅用具がある程度そろっている。
(1つバドミントン支柱が無い状態だと、支柱を自作するところから
始まります)
おすすめできない学級
☝あなた自身がやりたくない。(この場合はやめましょう)
☝学級(生徒や同僚・保護者・管理職等)の同意が得られない
※学級の体育はT1以外にもT2,T3や介助の先生が入ります
バドミントン実施に理解を得られない場合は、無理な導入は
避けましょう。
☝カリキュラム上、バドミントンを入れる余裕がない。
学級によっては、すでに他の通年で取り組む領域があったりします。
学級の生徒や同僚等の環境に応じて、導入の可否を判断してくださいね。
単元の最後のまとめの工夫
クライマックスイベントの実施
最後に1時間を使って、総当たりのリーグ戦やトーナメントで順位をつけたり、入賞者を表彰して盛り上げましょう!

つくれるコート数と人数から適当な形式や時間を設定してください。
表彰を行う
優勝、準優勝、三位等に表彰を行い、可能であればトロフィーや賞状を授与する
何位まで表彰するかや賞状等の有無は学級や生徒の実態に合わせて調整してください

ラリー最高回数やラリー最長時間、単元を通しての成長の表彰や、フェアプレー賞などと最後に全員で記念撮影をするのもおすすめです!!
まとめ
今回の記事では、特別支援学級での体育授業の例として「バドミントン」について以下の視点から解説しました!
1.特別支援学級でのバドミントンの紹介と実際の行い方
2.バドミントンを行うメリットや留意点(安全面・心理面)・用具の作り方
3.特別支援学級でどんな体育を行うかの見通し
少しでもご参考になれば幸いです!
分かりにくい点や、補足解説が必要な点などあれば、ぜひご質問・ご指摘下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
それでは、また!





